~戦争=屈折したコンプレックス=近代日本精神に殺された日本の近代詩 清家雪子 月に吠えらんねえ 異色の作品。明治以降の日本の近代文学に対する愛情がメガ盛りで、あまりにも詰め込みすぎてパーンと弾けて飛び散ってるような作品です。特に第一巻は弾けま…
「なんでこの世はこんなにつまんないんだよ!?」 という太古のケダモノソング Blankey Jet City Punky Bad Hip 清水の舞台にて 今を遡ること23年前、1994年にオーストラリアに「ぽーん」と渡りました。大阪で弁護士やって6年目、開業資金も貯めたし、いよい…
宮尾 行巳:五佰年(いほとせ)BOX イブニングに連載中、去年の暮れにまだ2巻がでたばかりの作品。カバー画像に惹かれて「ジャケ買い」のように読んでみたら、結構アタリでした。 もう発想がユニーク。「よくそんなこと思いつくな!」という、それだけでも…
なんでこの曲を書いた人がまだ生きてるのか、不思議 と言うのは、この曲を聞いた知人の感想ですが、ほんとそう。真剣にヤバいです、この曲。 曲の前半部分は、自殺念慮の心情描写なのですが、それは「甘酸っぱい」としか形容のしようのない酸味のある感情。…
漫画と音楽の違い(その1) ・漫画は新作だけど、音楽は古いのはなぜ? ・音楽はつまらなくなっているのか? ・先行者利益と追跡者利益、イノベーションの付加価値 このブログも30本ほど書いたわけですが、漫画はわりと最近のものを取り上げ、音楽はかなり…
[田辺イエロウ]BIRDMEN ~ド定番要素だけで構成されながら、全く新しいテイストの物語 2013年から少年サンデーで連載開始で、まだ連載中。全然知らなかったんですけど、これも面白いです。 構成要素は超がつくくらい定番ばっかり。・背中から翼が生えて空が…
漫画紹介:[森薫] 乙嫁語り ~異文化だけど懐かしい ~人が生きていく原風景的なぬくもり この漫画はフェバリットなので何回かに分けて書きます。巻によってテーマも変わっていきますし。 10年前の2008年から連載開始し、今も連載中です。 一見すると教養漫…
漫画紹介:[中川いさみ] マンガ家再入門 ~巧まずして人生やら全てに通じる創作の悩み 先日の今週の一枚エッセイ第862回:「わからない」恐怖感情と知的劣化スパイラルの冒頭でこのマンガの一部(鴻上尚史さんの部分)を紹介しましたが、今回はこの本まるま…
音楽:キース・ジャレット/ケルン・コンサート 音の甘露な雫(しずく) 午前零時のオン・ザ・ロック 今回はJAZZですが、JAZZってジャンル分けしていいのか?ただの「音楽」、あるいは「美しい音のしずく」とでも言うべきか。 この曲は知ったのは、FMの深夜放…
Gary Moore と小泉今日子の不思議な符号 「Over the Hill and Far Away」と「木枯らしに抱かれて」の曲想と構造の類似点 しかも、ほぼ同時期という不思議な符合 Gary Moore というロックギタリストがいて、ギターキッズの神々の一人です。北アイルランド出身…
漫画紹介: [鈴ノ木ユウ] コウノドリ ~プロゆえの謙虚な無力感と すべての立場に対する公平で優しい眼差し この作品は(2018年1月13日)現在21巻まで出てます。人気テレビドラマになってるそうなのでご存知の方も多いでしょう。僕はドラマは見てないですけ…
漫画紹介:史村翔・池上遼一「BEGIN」 ~「サンクチュアリ」「オデッセイ」から20年。 ~日中米のリアルでクソな国際政治を表と裏から変えていく大風呂敷が面白い 史村翔と池上遼一 現役日本一の絵師との評判も高い池上遼一氏の新作(2017年12月に3巻刊行)…
[鈴木大介・ 肥谷 圭介] ギャングース ~10年の現場取材によって描かれる日本のリアル ~中央政府の問題解決能力がなくなったエリアから、新しい勢力と秩序が生まれてくる 「ギャングース」は、本家のエッセイ822回で紹介したのですが、その際には「キーチVS…
音楽:[Beatles] She's leaving home ~世代も時代も越えた、成熟した視点が深すぎる家出ソング ~良かれと思って否定してしまう怖さ ~でもって、リスニングの練習に最適 ビートルズの中でも超地味な曲にスポットを当てます。 この曲、どってことない曲だと…
[ナガテユカ] ギフト± 誰よりも多く人を殺しているのに、誰よりもイノセントであるという矛盾した存在が環であり、それはこの漫画のテーマであり、臓器移植の本質でもある 現在10巻まで刊行されています。 可愛らしい女子高生が表紙になってるから、その系統…
LOUDNESS デビューアルバム(一曲目の冒頭) ~解放された雄叫び ~業界(資本主義)に抑圧されたアーチストのルサンチマンとその解放 Loudness "Birthday Eve" ラウドネスは日本のハードロック/メタル界の草分け的存在で、まだ現役で活動しています。 僕に…
[大塚英志×樹生ナト] とでんか 大塚英志さんという人 大塚英志さんって、昔から雑誌の編集やサブカル方面で論評とかやっておられる方で、今調べたらどっかの教授にまでなっておられるようです。もともと筑波大の学者一歩手前のイン テリさんだったんだけど、…
[福島聡] 機動旅団八福神 全10巻 ほにゃらら~とした漫画です。「え、なんの漫画?」「あ、そういう漫画なの」って感じで、読んでてもよくつかめない。だから次にどうなるか予想がつかないし、どこに視点を据えて読んでいけばいいのかもわからない不思議な浮…
[麻生 みこと]:海月と私 ~日本の鄙に行きたくなる上質な連続ドラマ 全4巻の小~中編。イイです。表現的に斬新!とか感動!とか「すごい」感はないんだけど、独特の空気感がとにかく気持ちいい。絶妙なバランス感覚で計算してそうしているのか、自然にそう…
[江戸 パイン] 社畜! 修羅コーサク ここんとこ、長いのが続いたので、今回は軽く。ギャグマンガを。 「社畜」と「サラリーマン」の違い 「社畜」という言葉も、最近ではすっかり市民権を得てるかのようですが、でも出てきたのは意外と古くて、確かバブルの頃…
[芝村 裕吏 (原著) キムラ ダイスケ] マージナル・オペレーション 珍しい純粋軍事モノなんだけど 同時に以前紹介した「ばらかもん」のように子供たちとの温かい交流を描いたもの。芝村さんの小説をコミカライズしたもので、僕は小説はまだ読んでおらず漫画単…
Moonchild ~King Crimson「クリムゾン・キングの宮殿」より ロックの古典の話です。1969年の曲。 でも、古典だから、懐かしいからという理由で書いてません。ただ単に群を抜いて「いい曲だ」と思うからです。最初に聴いてから30年以上経ってるんだけど、今…
[オノ・ナツメ] ふたがしら ~江戸美学と男の色気、そして「50歳未満禁止」ってくらいディープな人生哀感 この作品読んで、初めて「男の色気」というのがわかった気がします。よく聞く言葉なんだけど、いまいち感覚がつかめなかったし、そんなの女性じゃない…
漫画紹介:[伊勢ともか] 懲役339年 これはタイトルだけで読もうと思いましたね。発想が凄いなと。 なぜ339年になるのか?といえば、無茶苦茶な宗教が国を支配していて、受刑者が死んだら、その者の生まれ変わりを国中から探しだして残刑期を償わせる。つまり…
[真鍋昌平] 闇金ウシジマくん これも有名な作品で、まだ連載してると思います。TV番組にもなったのかな。最新刊が41巻とか、結構長いですねー。 この漫画はですね、読むと誰もが鬱になるという(笑)。 それは作品としては褒め言葉なんだろうけど、そのくら…
Blankey Jet City小論 ※漫画紹介に加えて音楽話、ゆくゆくは小説なども増やします。すでに書いちゃったのも結構あるし。以下のブランキー論は、今週の一枚エッセイシリーズのさらに前の「シドニー雑記帳」時代のものです。なんせ初出が1997年。20年前に書い…
[井上智徳] COPPELION コッペリオン この漫画、26巻まであって、アニメ化もされてるけど一般的にはそんなに知名度高くない。僕もたまたま知ったくらいです。でも、この作品のなかに、原発をとりまく問題状況はかなり指摘されているのですね。でも話題になら…
[中川海二] ROUTE END /ルート・エンド まだ二巻までしか刊行されていない連載中の漫画です。連載先は王道の「少年ジャンプ」なのですが、「え、ジャンプでこれ載せてるの?」と意外なくらい地味な作品です。かなり大人向けの内容で、スピリッツとかモーニン…
[ヨシノサツキ] ばらかもん 心があったかくなる、ほんわかドメスティックなお話。おすすめです。 展覧会で入選常連という若い書道家が離島で繰り広げるドタバタコメディで、アニメにもなってます(なかなか良いらしい。見てないけど)。 幾つかの要素が入っ…
キングダム 39巻 で呂不韋が説く「貨幣制度」と人類の関係 今、世界の先進的な連中の興味のひとつがお金、貨幣制度だと思います。あるいは国家の通貨高権ってどうよ?という問題意識。これを煎じ詰めれば「お金って便利だけど、不便でもあるよね」ということ…